新規集客
サロンや美容室の「紹介」新規客は「リピート率」も「客単価」が最も高い傾向があります。また集客コストも一番かかりません。
そこで今回は「紹介集客を増やす」ための基本知識をご紹介します。
口コミ紹介客を増やす最大の秘訣は、既存客に「良い口コミ」をしてもらう事に尽きます。
そして「良い口コミ」は、お客様の心の中の「期待や常識」を越えて「感動した時」に起こります。
ところがこの「期待や常識」がクセモノです。お客様それぞれに「期待や常識」のボーダーラインは違います。
そのため、口コミは基本的に「コントロールはできない」と言われています。
ところが・・・。
コントロールできなくても、「紹介客を増やす」事は出来ます。
どういう事か、順を追って説明していきます。
まず大前提として、実はいまお店に来ている「口コミ紹介客」は、あなたの「お店の口コミ」を聞いた人の中の「ほんの一部の人」に過ぎません。
言い換えるなら、あなたのお店の口コミを聞いた人は、今の紹介客の「25倍」の人数がいるのです。
その根拠として「25倍のサイレント」という格言があります。これは1人の意見の影には”25倍の同じ意見を持つ人が存在する”というマーケティングの格言です。
マイナス的なことで考えると、もしもお客様に「スタッフの言葉づかいが失礼ね!」と叱られた場合、その25倍のお客様がそう思っている可能性があります。
拡大解釈かもしれませんが、言い換えると、行動した人数の25倍もの隠れた【行動しない人】が存在するとも言えます。
ここで、あなたのお店の紹介客で考えてみましょう。
例えば今月10人の紹介客が来てくれたとします。しかしこの1か月間で「10人しかお店の口コミを聞かなかった」のでしょうか。
仮に10人しか聞いていないなら、「聞いた10人全員が来店した」のでしょうか。
そんな事はまずありえません。
だからもし、今の「紹介客の25倍もの人」があなたの「お店の口コミ」を聞いたのに
行動(来店)していないのなら、実に「もったいない」と思いませんか。
では、なぜ「行動してくれない」のでしょうか。
その理由は、実は口コミをしてくれる人(既存客)は
「お店の良さ」を「どう伝えて良いか」分からないんです。
例えば既存客が「友達に紹介したい!」と思ったとします。
でもその多くは「上手だよ」「感じがいいよ」ぐらいしか言えません。
ところが聞いた友達は「上手」「感じがいい」ではイメージもわきません。
なぜならどの美容室でも、よくそう聞くからです。
そのため、ほとんどの場合「じゃあそのうち・・」と、せっかくの口コミ紹介の「見えないチャンス」を失っています。
既存客が上手く伝えられない理由は、お店が「こだわり・良さ」を「伝えていない」、
または「伝えているつもり」で、既存客には「伝わっていない」からです。
例えばイタリアンのおいしいお店を見つけて、友達に「おいしいよ!」とだけ伝えても、その良さは伝わりにくいと思います。
しかし「有機野菜にこだわり、旬の野菜の味を活かしたイタリアンだよ!」という、『具体的な良さ』を伝えると、聞いた友達はもっと行きたくなると思います。
あなたのお店では、お店の「こだわり・価値」を既存客に伝えているでしょうか。
あなたが伝えなければ、既存客はもっと友達に伝える事が出来ません。
口コミを増やす第一歩は、お店の「こだわり」を「価値」を伝える事です。
あなたが伝えない限り、その良さは「お客様の体感」の中でしか存在しません。
だからぜひ「言葉」でも伝えて欲しいと思います。そうする事で既存客が周りに伝えやすくなります。
紹介客を増やすため、既存客の定着やリピート率をあげるには、サロンの「こだわり・価値」を伝えることが大切です。
しかし「こだわりを伝えましょうよ!」と私がお伝えすると、多くの美容師オーナーは「そんな事を伝えるのは照れ臭い」と言います。理由は「プロとして当たり前の事をしているだけ」なので、わざわざ伝えるべき事では無いという意味だと思います。
「謙虚さ」は日本人の美徳であり、「見えないこだわり」に価値があるという考え方は、私も大好きです。
でも、本当に大切なのは「今いるお客様(既存客)」のはずです。
「集客のため」に伝えるのが嫌でも、「既存客のため」に伝えて欲しいと思います。
というのも実は既存客は、あなたのお店の「価値」を知ると嬉しくなるからです。
その背景には「自己矛盾の解消」という心理学があります。
これは「自分で選んだものは、価値のあるもの・正しい事だと思いたい」という自己肯定の心理です。
昔、宇多田ヒカルさんがデビューした時、日本中で大ブームが起こりました。
あまりにも売れるのでテレビ番組で「なぜそんなに売れるのか」特集が組まれました。
そこで音の専門家が登場し、宇多田さんの「声」を分析した所、「癒しの波長」と呼ばれる「1/fのゆらぎ」を持つ事が分かりました。これは「そよ風や川のせせらぎ」などの心地良い、精神的な安らぎを与えてくれる波長だそうです。
ちなみこの「1/fのゆらぎ」を持つの歌手には、他にもMISIA、美空ひばり、松任谷由実、徳永英明、吉田美和などがいます。
つまり宇多田ヒカルの声には自然界に似た「癒し効果」を持つ事が音の専門家によって証明されたんです。
これをテレビで見た宇多田ファンは「やっぱりね。」ときっと嬉しくなったと思います。
自分が好きな事・選んだ事に「価値がある」と認められるのは嬉しい事です。
そしてこれは、あなたのお店に通ってくれている既存客も同じです。
あなたの「お店の価値」を知れば「私が選らんだ店は、そんな良い事をしてくれていたの!」と内心喜んでくれます。
またそれを人に「口コミ」してくれたりもします。
口コミが増える・増えないは、実は「お店の伝える意識」に最大の原因があります。
既存客の満足のためにも、お店の「こだわり・価値」を伝える欲しいと思います。
口コミ紹介を増やすために、お店の「価値」を既存客に常に伝える習慣が必要です。
なぜなら、それが既存客の「口コミで伝える時のネタ(情報)」になるからです。
ところが、多くのお店から「うちのお店には伝えるネタが無い」と相談を受けます。
決してそんな事はありません。
実は多くのお店が「お客様には価値が高い」事なのに、伝えていない事があります。
例えば美容室では「カラーの後処理」なども「価値が高い」サービスです。
この「後処理」を無料で「当たり前」のようにしている美容室は意外とあります。
でもそんな「価値のある事」をしているのに、スタッフがその作業を「当たり前」になりすぎてお客様に説明しません。
結果、多くの既存客が「後処理」してくれているのを知りません。
他にもカラー剤を塗る技術は、頭皮にも付ける「べた塗り」と、頭皮ギリギリからカラー剤を髪に塗り、頭皮には塗らない「ゼロテク」があります。
「べた塗り」は塗りムラも少なく、塗る時間も短く、高い技術力が必要ないため、多くの美容室では特に「白髪染め」の場合は「べた塗り」で塗ります。
ところが手間と時間をかけて、白髪染めも必ず「ゼロテク」で塗る美容室があります。
なぜそのお店は白髪染めでも必ず「ゼロテク」を使うかというと、「頭皮も、顔の顔の一部」と思っているためです。
「顔にカラー剤なんて塗られたら嫌でしょ。頭皮でも同じです。」とスタッフは口を揃えます。
でも「カラーの塗り方」にも複数ある事を、多くのお客様は知りません。
そしてそれを伝えていないお店の方が圧倒的に多いです。
私の言う「お店の価値を伝える」とは、そんな「お店で当たり前の事」の中に沢山あります。
日常的になりすぎて、オーナーやスタッフが伝える意識すらありません。
本当に「もったいない」です。
「他のお店には少ない特殊技術」を新たに導入する事はお金も時間もかかります。
でも「新しい特殊技術」を導入する前に、あなたのお店には「日常に当たり前の作業」の中に、お客様に伝えきれていない「価値の高い事」が沢山あるはずです。
それをお客様に伝えて下さい。
お客様の「自己矛盾の解消」をしてあげて下さい。
そうすればお客様は「やっぱり私が選んでいるこのお店は良いのね!」と満足度が上がります。
またそれが口コミで話せる「ネタ」になり、紹介客の増加につながります。
最後に「無料」でできる、超カンタンな「紹介客を増やす方法」をお伝えします。
それは
「紹介してもらったら、めちゃめちゃ喜ぶ!」・・です。
「・・なんだそりゃ!?」と突っ込まれそうですが、実はとっても大切な事なんです。
というのも以前読んだ、億万長者が書いた自己啓発本にこんな事が書かれていました。
「多くの人は”あげる”のは上手。」
「だけど”もらう”のは下手」だと。
さらに「お金持ちはもらうのが上手」だと言うのです。
確かに、私の間近には「もらう天才」が2人います。
その2人に比べたら私自身は「もらうのが下手」だなぁ~っと、つくづく感じるのです。
さて、私の間近にいる「もらう天才」ですが、それは私の2人の息子です。
とにかく息子は何を上げても喜びます。
アメ玉1つをあげても、めちゃめちゃ喜んで
「とーちゃん! ありがとう!!!」と叫びます。
そんな嬉しそうな顔を見るたびに、私は思うのです。
「もっとあげたい!!」と。
親バカですが、私が息子に「あげる」以上に、3倍返しの勢いで「うれしさを返してもらっている」と感じるのです。
「もらうのが上手」というのは、与えてくれた相手を喜ばしてしまう才能なのだと思います。
まあ、今では二人とも中学生になったので、さすがにアメ玉では喜んでくれなくなりましたが(^_^;)
さて、心理学の1つに
「返報性(へんほうせい)の法則」というものがあります。
これは「人間は恩を受けたら、返したくなる習性」の事を指し、それを活用したビジネスは数多くあります。
「紹介してもらったら、めちゃめちゃ喜ぶ」というのは、この返報性の法則にもつながります。
心から喜んで嬉しさを伝える。
こんなシンプルな事に人は恩を感じたりします。
お客様も、あなたの喜ぶ顔を見たら
もっと紹介したい!と思う人がきっと増えます。
無料で出来る、超カンタンな紹介増加法。
あなたの「もらう才能」で
ぜひお客様を喜ばせてあげて下さい。
最後に「心構え」というか、少し違う角度のお話をしたいと思います。
ある「手作りハンコ屋」さんのホームページは少し変わっていて
申し込みページにこう書かれています。
差し支えなければ、どなたが・どんな大切な日をお迎えになるのか記入下さい。
例) 娘の結婚また『込めて欲しい思い』など、職人に伝えたい事がございましたら、ぜひお聞かせください。
例) 娘の幸せを願っている”
なぜこんなコトを聞くのか。
その理由がこう書かれています。
【心を込めて彫ります。】
そういうハンコ屋さんはたくさんあります。でも『心を込める』とは、一体どういうことなんでしょう?
それについて私たちは何日も考えました。
そして考えた末に思い至ったのは心は無理にこめるものではなく
自然にこもるもの・・。というコトでした。
想像してみてください。
あなたが、大切な家族や大切な人に料理をするとします。あなたはきっとその人が喜ぶ姿を思い浮かべながら
料理するのではないでしょうか。そうすると、自然に心がこもるんです。
私たちは、ただ漠然と「心を込める」のではなく、お客様の気持ちを想像しつつ、親身になって印鑑を彫り上げたいのです。
(中略)是非、どなたがどんな大切な日を迎えようとしているか、私たちに聞かせて下さい。
さて。
紹介客が多いスタイリストのカウンセリングを見ると
「この人をキレイにしてあげたい!」と心の底から本気で思っているんだなぁと、ひしひしと感じる事があります。
それを「人間力のある人」だと片付けてしまうのは簡単です。
でも少なくともカウンセリングを「自分が失敗しないため」ではなく、
「相手を喜ばせてあげたい」という気持ちが伝わります。
そんなスタイリストは技術力が高くなくても、リピート率が高く、本当に紹介客も非常に多いです。
心は
こめるモノ ではなく
こもるモノ。
たった1文字の「少し」の違いです。
でも、その「ほんの少し」が「大きな差」となって
お客様に伝わるのかもしれませんね。
このブログ記事は、私(中川淳)が以前に出版した
「美容室の新規集客の方法」の本から一部を抜粋したものです。
なお、他にも以下の「紹介カードの活かし方」や「紹介集客」の実践編のブログ記事も、人気記事の1つです。
よろしければ参考にしてください。
この記事を書いた人
中川 淳 株式会社IT-Brain(アイティブレイン)代表取締役。美容室専門の集客・求人プロデューサー。美容室で年間2000店舗以上/年間5万人の新規客の集客に関わる。 2014年、地域密着の美容室の集客方法をまとめた「行列のできる新規客の集め方」本を出版。Amazonランキング4部門で1位。 またセミナー講師もつとめ、経営者や美容師さんを中心に、受講者は全国で7,000人以上(2021年7月時点)。
株式会社IT-Brain(アイティブレイン)代表取締役。美容室専門の集客・求人プロデューサー。美容室で年間2000店舗以上/年間5万人の新規客の集客に関わる。 2014年、地域密着の美容室の集客方法をまとめた「行列のできる新規客の集め方」本を出版。Amazonランキング4部門で1位。 またセミナー講師もつとめ、経営者や美容師さんを中心に、受講者は全国で7,000人以上(2021年7月時点)。